中学受験の国語で「記述がまったく書けない」と悩むお子さんは、少なくありません。おすすめしたいのが「模写」です。
👉書けない子こそ「模写」
昨年度、家庭教師として担当したお子さんも、最初は記述問題がまったく書けませんでした。正直、「これは厳しいかも」と思うほど。しかし、3か月後には見違えるように答案が整い、偏差値は約20ポイント上昇しました。
行ったのは、特別なテクニックではなく、模範解答の模写。
わたくしが書いた過去問の模範解答を、方眼ノートに丁寧に書き写してもらう。これを宿題で出していました。もちろん、普段の指導で、記述問題の添削はかなりやっていきますが、模写の目的は、正しい文の形を体感させること。「こう書けば伝わるんだ」「この接続詞で文が流れるんだ」と、手で書き写すことで自然に身につきます。
👉学校別の「直し」=実は自然な模写練習をしている
「学校別特訓に通い始めてから、記述が得意になってきた」というお子さんがいます。実はそれ、直しで模範解答を何度も模写しているからです。繰り返し「正しい構文」に触れるうちに、文の型が身体に染みこんでいくのです。わたくしが家庭教師で担当しているお子さんにも、模範解答を見ながら、主語・述語・目的語・接続詞・補語を意識して模写してもらう宿題を出します。まさに、構文を体で覚えるトレーニングです。
👉模写はプロの手法でもある
わたくし自身、大学で言語学を専攻し、選択授業で翻訳を取り学んでいたとき、日本語訳を模写する課題がありました。文のリズムや表現の癖を身につけるには、これ以上ない練習法です。実際、作家や翻訳家の多くも模写を日課にしているといいます。国語の偏差値が60に届かないうちは、算数で毎日計算練習をするように、国語でも「模写」を日々のルーティンにする。10~15分でも構いません。積み重ねが、確かな文章力を育てます。
👉模写するならこの学校の過去問をぜひ
模写に向いている過去問としておすすめなのは、学習院女子中等科や成蹊中学校の国語です。記述模範解答が非常に丁寧で、構文の型・語彙の選び方・主語の入れ方などが明快です。「前期NN麻布を受ける理由は、接続詞の課題プリント(=模範解答集)が欲しいから」という話を聞くこともありました。お通いの学校別があるのでしたら、その授業で解いた問題の模範解答を模写するとよいです。
👉構文力が「記述の鍵」
記述採点で重視されるのは、構文の正確さと接続詞の使い方です。
たとえば、
「友達に無視された。それで僕は疎外感を感じた。」
「僕は刑務所に入れられた。そして手足が束縛された。」
大意は伝わりますが、構文が不安定だと誤読を招きます。適切な接続詞を使い、主語と述語の対応を整えることが、読解力と表現力の基礎になります。
👉解き直しで力を入れてやるべきことも「模写」
記述の解き直しでありがちなのが、「自分の答案を少し直す」だけ。偏差値はこれでは上がらない。最初のうちは、自分の解答はいったん忘れて、模範解答を模写するほうが効果的です。まず構造を理解することで、次に「自分の言葉で書く力」が自然に育ちます。
👉8mm方眼紙で文字サイズと字数感覚を育てよう
模写を始めるときは8mm方眼紙を使うのがおすすめです。「80字ならこのくらい」という感覚が身につき、字数指定のある記述問題に強くなります。国語の記述は「センス」ではなく「型と経験」。模写は、その両方を育てる最短ルートです。毎日10分の積み重ねで、確実に変わります。